村上公也個展「TURNBUCKLE」
2023年11月15日(水)~26日(日)
TURN BUCKLEターンバックル
子どもの頃、家業が土木建築業をしていて、我が家の敷地内に大きくて薄暗く埃っぽい機材倉庫があり、私自身を筆頭に近所の悪ガキたちの恰好の遊び場であった。
そこには、ウインチと呼ばれる太いワイヤーを巻き上げる巨大な車輪の付いた機械やロープ状の紐を手動で引っ張り始動させる発動機や、ボールベアリングやたくさんの歯車がついている得体の知れない大型機械などが乱雑に置かれていた。
また、コンクリートのこびりついた型板が何枚も積み上げられていたり、セメントと砂と砂利をスコップで混ぜるための茶色に錆びた鉄板も置かれていたりした。他にもトロッコの車輪やそのレールや長い鉄筋なども大量に立てかけられていた。
いくつもの大きな木の樽に、いろいろな金具がごっそり入っていて、太いボルトやナットや鉄の四角いワッシャーなどが入っていた。そのワッシャーの角を金槌で叩き潰し、薄く刃物のように尖らせて、忍者の使う手裏剣のようなものを作るのが楽しみだった。それを倉庫内の木の柱に描いた的を狙って投げて突き刺して遊んでいた。
それらの金具の中でもターンバックルは、用途が広い遊び道具であった。実際の用途は張られたワイヤーなどを最適な緊張に調整するものだ。一方のネジが逆ネジになっているのもテクニカルで興味深い構造なのだが、ボルト状のネジの間に煙硝火薬を挟み、それを放り投げると大きな爆発音が鳴り、火花と薄青い煙が出た。それを手りゅう弾と呼んで遊んでいた。忍者の手裏剣にせよ、手りゅう弾にせよ、今、思うと危険極まりない遊びだった。遊びは危険なほど、子どもにとっては魅力的で好奇心をそそられるのである。
ターンバックルは、このように私にとって親しみのある『もの』であり、擬人化できそうな形態も単純に面白いと感じていた。また適度な緊張にアジャストするということは、現実の人間関係においても、深い意味合いを示唆するシンボルになりえるのではないだろうかと思う。
関連記事